添乗集団 夢屋

添乗集団 夢屋

お役立ち情報
2023/3/2
海外医療通信2023年2月号 【東京医科大学病院 渡航者医療センター】

https://www.travelvision.jp/news/detail/news-104191

より

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

【リンク】東京医科大学病院 渡航者医療センター=====================================================

海外感染症流行情報 2023年2月

 

(1)全世界:新型コロナウイルス流行状況

23年2月は世界全体で新型コロナウイルスの新規感染者数が減少しています(WHO Corona virus disease 23-2-22)。ウイルスの種類はオミクロン株のBA5系統(BF7、BQ1)、BA2系統(BA2.75、CH1.1)、組換え型(XBB、XBB1.5、XBF)が共存しており、国や地域により流行状況が異なります。米国ではXBB1.5が8割以上を占めていますが(米国CDC 23-2-18)、ヨーロッパではBQ.1が4割と主流になっています(ヨーロッパCDC 23-2-17)。日本でも新規感染者数は減少しており、BQ.1の検出が4割と最も多くなっています(厚労省アドバイザリーボード会議 23-2-22)。なお、日本政府は、今年5月8日から新型コロナウイルス感染症を5類に引き下げる決定をしました。

(2)全世界:インフルエンザの流行状況

23年2月になり北半球でのインフルエンザ流行は収束しつつあります(WHO 23-2-20)。米国では感染者数が流行レベル以下になりましたが、B型がやや増加傾向にあります(米国CDC flu view 23-2-17)。ヨーロッパではまだ感染者数が多い国もありますが、全体的に減少しています(ECDC 23-2-17)。東アジアではモンゴルを除き感染者数はあまり増えていません。なお、マレーシアでB型による感染者数の増加がみられています。

(3)全世界:サル痘の「公衆衛生上の緊急事態」が継続

23年2月9日にWHOは、サル痘(mpox)を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の対象に引き続き指定することを決めました(WHO 23-2-15)。感染者数は世界的に減少していますが、中南米などでまだ多いことによります。昨年5月からの世界流行で、今年2月下旬までに110か国から8万6000人の感染者が確認されています(WHO 23-2-21)。

(4)アジア:デング熱の流行状況

マレーシアでは今年1月から2月初旬までにデング熱患者が1万人以上発生しており、昨年同期に比べて約3倍多くなっています(WHO西太平洋 23-2-16)。ベトナムでも1月から2月中旬までに1万人の患者数となり、昨年同期の2倍の数です。今年は東南アジアで、昨年以上のデング熱流行が起こる可能性があります。

(5)アフリカ:コレラがマラウイ、コンゴ民主共和国で流行

アフリカ東部のマラウイで、22年3月からコレラの流行が発生しています。今年1月末までに全土で3万6000人の患者が報告され、1200人以上が死亡しました(WHO 23-2-9)。隣接するモザンビークにも流行が波及している模様です。アフリカ中央部のコンゴ民主共和国でも昨年末からコレラの流行が発生し、今年1月末までに東部を中心に4000人以上の患者が確認されました(WHO 23-2-10)。

(6)アフリカ:赤道ギニアでマールブルグ熱発生

アフリカ中部の赤道ギニアで、今年2月初旬にマールブルグ熱の疑い患者が16人発生し、9人が死亡しました(WHO アフリカ 23-2-13)。患者が発生したのは北西部のKie Ntem州で、カメルーンやガボンと国境を接する地域です。マールブルグ熱はエボラウイルスに近縁のウイルスによる出血熱で、致死率が大変高い感染症です。感染経路はウイルスを保有するコウモリとの接触と考えられており、患者から直接感染することもあります。アフリカ中部で以前から患者発生が見られていましたが、赤道ギニアでは最初の流行になります。

(7)南米:パラグアイでチクングニア熱が流行

パラグアイでは今年になりチクングニア熱の患者が急増しており、2月中旬までに4万人に達しています(Fit For Travel 23-2-17)。昨年の患者数は1年間で1万5000人でした。チクングニア熱は蚊に媒介される感染症で、発熱とともに強い関節痛を起こしますが、デング熱のように重症化することは稀です。同国に滞在する際は蚊に刺されない対策をとるようにしてください。

日本国内での輸入感染症の発生状況(2023年1月9日~23年2月5日)

 

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査 2023年 (niid.go.jp)を参考に作成しました。新型コロナウイルス感染症の輸入例については、厚労省発表の検疫事例 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、検疫事例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp) を参考にしています。

(1)経口感染症:輸入例としてはチフス4人(ミャンマー、インドネシア、バングラデッシュ、ネパールで感染)、腸管出血性大腸菌1人、アメーバ赤痢1人、A型肝炎1人、E型肝炎1人が発生しています。

(2)昆虫が媒介する感染症:デング熱が2人発生し、前月(7人)より減少しました。感染国はキューバ、スリランカでした。マラリアの感染は1人で、ソロモンでの感染でした。

(3)新型コロナウイルス感染症:2023年1月26日~2月22日までに輸入例として163人が報告されており、前月(769人)より大幅に減少しました。このうち129人が中国からの入国者で、それ以外は米国(10人)、イギリス、ドイツ、韓国(各3人)などからの入国者でした。