https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM106VR0Q3A110C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230110_Y
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【北京=羽田野主】中国政府は10日、中国に行く日本人と韓国人に対するビザ(査証)の新規の発給業務をとりやめた。日韓は中国からの渡航者への新型コロナウイルスの水際対策を強化している。中国外務省の報道官は「中国への差別的な入国制限措置に断固反対する」と表明し、対抗措置だと明らかにした。
在日本の中国大使館は10日「日本国民への一般ビザの発行を一時停止する」と発表した。再開については改めて知らせるという。在韓国中国大使館も同日、ビジネスや観光目的などのビザの新規発給を一時停止したと発表した。
中国外務省の汪文斌副報道局長は10日の記者会見で、日韓を念頭に「少数の国は政治的な操作をすべきではなく、差別的な取り扱いをやめるべきだ」と批判した。米国や欧州各国も水際対策を強化したが、中国政府は日韓以外への対抗措置は明らかにしていない。
日本の外務省は10日、在日中国大使館に抗議しビザ発給停止の撤回を求めた。政府高官は「日本は中国からの渡航を止めていない。全く釣り合っていない措置だ」と中国の対応を批判した。
日本の旅行会社によると、人道目的以外の、商用ビザなどの申請ができなくなった。ビザ手続きの停止が長びけば日本から中国に出張できなくなり、日中間のビジネスに支障が出る懸念がある。
日本政府は8日、中国からの渡航者を対象に水際対策を強化した。入国時の検査義務をより精度の高いPCR検査などに切り替えたが、ビザの発給は止めていない。
中国は8日に新型コロナの感染拡大を防ぐために外国などから中国本土に入る際に義務づけていた隔離措置を撤廃した。本土と香港間も隔離なしの往来を可能にし、感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策を事実上終了させた。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「中国での感染が非常に多くなる一方、包括的データが出てこないため、各国が自国民を守るのに必要と信じる措置をとるのは理解できる」と発言した。