添乗集団 夢屋

添乗集団 夢屋

お役立ち情報
2022/8/29
海外医療通信2022年8月号 【東京医科大学病院 渡航者医療センター】 (08/26)

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

【リンク】東京医科大学病院 渡航者医療センター=====================================================

海外医療通信 2022年8月号

海外感染症流行情報 2022年8月

(1)全世界:新型コロナウイルス流行状況

8月に入り世界的には新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあります(WHO Corona virus disease 2022-8-24)。オミクロン株BA.5への置き換わりはほとんどの地域で進んでいますが、BA2.75など新たな派生型の拡大はみられていません。一方、日本では8月になっても第7波の流行が続いており、WHOの週報では日本の新規感染者数が毎週世界最多になっています。今後、学校が新学期を迎えることなどで、第7波の流行はさらに長期化するとみられています(厚労省アドバイザリーボード 22-8-24)。なお、8月24日に日本政府は、海外からの入国者について、ワクチン3回接種が証明されれば、新型コロナ検査の陰性証明書を求めない方針を発表しました。この対応は9月7日から実施されます。

(2)全世界:サル痘の流行状況

サル痘の世界的な流行は8月も続いており、8月22日までに96か国から41,666人の患者が報告されました(WHO 2022 Monkeypox Outbreak 22-8-23)。この1か月間の発生数は南北アメリカが60%、ヨーロッパが39%を占めており、過去1週間の報告数はやや減少傾向にあります。国別では米国(14049)、スペイン(6119)、ブラジル(3450)、ドイツ(3925)が多くなっています。WHOの解析では、患者の大多数は男性間性交渉者(Men who have Sex with Men :MSM)で、現段階でこの範囲を越えて流行は拡大していないとのことです。

(3)アジア:アジア各地でデング熱患者が増加

今年はアジア各地でデング熱患者の増加が報告されています。シンガポールでは8月上旬までに昨年の4倍近い2万3000人、フィリピンでも8月中旬までに昨年の2倍の10万人以上の患者、ベトナムのホーチミンでも昨年の3倍の4万人近い患者が確認されました(Outbreak News Today 22-8-6,14,16,)。スリランカでも今年は5万人のデング熱患者が発生しており、このうち1万人以上は首都コロンボからです(Outbreak News Today 22-8-21)。コロナの水際対策緩和でアジアに滞在する人も増加傾向にありますが、現地滞在中は蚊に刺されない対策を十分に行ってください。

(4)アジア:フィリピンでコレラの流行発生

フィリピン中部のビサヤ諸島でコレラの患者が増加しています。7月末までに昨年の2倍となる700人以上の患者が発生しました。患者発生はダバオなどで多い模様です。ビサヤ諸島には日本からの渡航者の多いセブもあり、現地滞在中は飲食物に十分注意するようにしてください。

(5)ヨーロッパ、北米:英国、米国でのポリオウイルスの検出

英国・ロンドンで今年2月~7月上旬の下水中に、116件のポリオウイルス(ワクチン由来2型)が検出されました。これを受けて英国では9歳までの小児にポリオワクチンの追加接種を推奨しています(ヨーロッパCDC 22-8-12, 16)。一方、米国・ニューヨーク州のRocklandの下水からも、ロンドンと同一のポリオウイルスが検出されました(米国ニューヨーク州保健局 22-8-12)。Rocklandでは今年6月にポリオ患者が1例発生しましたが、さらに多くの感染者が存在する可能性があります。ニューヨーク州では2019年からポリオワクチンの接種率が低下しており、保健当局はワクチン接種を呼び掛けています。現時点で、日本から英国や米国に滞在する場合、ポリオワクチンの追加接種は推奨されていませんが、今後の経過を見ていく必要があります。

(6)アフリカ:コンゴ民主共和国でエボラ熱の患者発生

コンゴ民主共和国の北東部にあるベニで、エボラ熱の患者が1名発生しました(WHOアフリカ22-8-20)。患者は46歳女性で7月末に発症し、8月中旬に死亡しました。同地域では2018年~20年に大規模な流行が発生しており、その再燃と見られています。

日本国内での輸入感染症の発生状況(2022年7月4日~8月7日)

 

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査2022年 (niid.go.jp)を参考に作成しました。新型コロナウイルス感染症の輸入例については、厚労省発表の検疫実績(2022年7月12日)【HP掲載用】0730まで検査実績 (mhlw.go.jp)を参考にしています。

(1)経口感染症:輸入例としては細菌性赤痢1人、腸管出血性大腸菌1人、チフス1人、赤痢アメーバ3人、A型肝炎1人が発生しています。

(2)昆虫が媒介する感染症:デング熱が8人発生し、前月(3人)より増加しました。感染国はベトナム(4人)、フィリピン(2人)、インドネシア、タイ(各1人)でした。マラリアの感染は2人で、ナイジェリア、ギニアでの感染でした。

(3)その他の感染症:インドネシアで麻疹に感染した事例が1人報告されました。

(4)新型コロナウイルス感染症:2022年7月3日~30日までに輸入例として847人が報告されており、外国籍は463人(54.7%)でした。前月(779人)に比べてやや増加しています。感染者の滞在国で多かったのは、ベトナム194人(外国籍116人)、インド89人(52人)、パキスタン87人(65人)、米国87人(53人)、ネパール62人(60人)、ウズベキスタン26人、タイ25人、英国19人でした。