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2022/7/26
海外旅行中のコロナ治療費は最悪「数千万円」にも!万一に備える必須準備とは

https://diamond.jp/articles/-/306790 より

コロナ禍はまだ予断を許さないものの、そろそろ海外旅行に行きたいと夏休みの計画を立てている人も多いだろう。だが、海外で万一コロナに感染したときの費用負担をどうするか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第244回では、今海外旅行に行く前に、医療費の面でどんな準備が必要なのかを考えてみよう。(フリーライター 早川幸子)

コロナ禍の夏休み、海外旅行に行くなら

海外旅行傷害保険に加入を

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が始まってから、3回目の夏がやってきた。

 経済活動の正常化に向けて、世界の国々は、外国人旅行者の入国制限や行動制限の緩和・撤廃に踏みだしている。COVID-19に関する出入国の要件は、国ごとに異なるが、たとえばアメリカやフランスなど、ワクチン接種済みの人なら、原則的に入国制限や行動制限のない国もある。

こうした国際的な渡航事情の変化により、日本でも海外旅行を計画する人が増えているようだ。7月7日、旅行会社大手のJTBが発表した「2022年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向」によると、この夏の日本の海外旅行者数は50万人になると推計されている。

 2019年夏の海外旅行者数は294万人だったので、コロナ禍以前の6分の1程度にとどまるものの、2020年の5万人、2021年の9万人に比べると、1桁上がっている。国際的な往来の再開に伴い、今後は海外旅行需要も徐々に復活していくことが見込まれる。

 とはいえ、COVID-19は完全に収束したわけではない。現在は、オミクロン株の亜系統BA.5が急速に拡大している。7月20日現在の国内の新規陽性者数は過去最多の15万2535人で、全世界では、毎日、70万~90万人程度の人が新たに感染している。

 こうした状況下で海外旅行をする場合に、どのような準備が必要なのか。ぜひとも加入しておきたいのが海外旅行傷害保険だ。その理由を次ページから解説していこう。

●海外でコロナで入院・治療すると数千万円の出費となる場合もある

●健康保険の海外療養費だけでは賄いきれない。海外旅行傷害保険の加入は必須

海外での病気やケガで健康保険の海外療養費が使えるが

全額返ってくるとは考えないほうがいい

 日本では、COVID-19は感染症法の新型インフルエンザ等感染症に分類されており、原則的に治療にかかった医療費は全額公費負担となっている。高所得層については、月額2万円程度の一部負担金を設けている都道府県もあるが、ほとんどの患者は無料で医療を受けられる。だが、このルールが適用されるのは日本国内のみだ。

 海外では外国人旅行者がCOVID-19の治療を受けた場合、かかった医療費は、原則的に全額自己負担になると考えておいたほうがいい。治療にかかる医療費は、国や地域、症状などによっても異なるが、中等症でも数百万円。重症化して、人工呼吸器や人工心肺などが使用された場合は、数千万円単位になる可能性もある。

日本でCOVID-19の治療費が無料になるのは、税金でその費用が賄われているからだが、通常は公的な医療保険(健康保険)を利用することで、かかった医療費の一部を負担するだけで、必要な医療を受けられるようになっている。この医療費の支払いシステムが通用するのは、日本の保険医療機関だけで、当然のことながら海外で健康保険証を見せてもなんの効力もない。

 そのため、海外旅行中や海外赴任中などに病気やケガをして、現地の医療機関を受診した場合は、原則的にかかった医療費の全額が患者本人に請求される。

 ただし、健康保険には「海外療養費」という制度がある。これは、患者が健康保険に申請することによって、海外で全額自己負担した医療費の一部を払い戻してもらえるというものだ。

 海外療養費の対象になっているのは、日本国内で健康保険が適用されている治療や薬のみだ。美容整形や予防目的の治療などは対象にならず、最初から臓器移植や先進医療などを受ける目的で渡航した場合も、海外療養費は適用されない。

 また、払い戻される金額は、海外で受けた治療と同様のものを、日本で受けたと仮定し、両者を比較してどちらか低いほうの金額が支払いの基準になる。そこから、年齢や所得に応じて決まっている自己負担分を除いた金額が支給される。

 たとえば、現地の医療機関に支払った医療費の合計が30万円(円換算、以下同)で、このうち日本で保険適用されている治療が10万円だった場合は、残りの20万円分の治療は、海外療養費の対象から除外される。

 さらに、海外療養費の対象となる10万円についても、日本で同様の治療を受けたと仮定して、払い戻される額が決められる。たとえば、この治療を日本で受けた場合の医療費が5万円だった場合は、低いほうの5万円が医療費計算の基になる。そのため、70歳未満で3割負担の人が還付されるのは、自己負担分の1万5000円を差し引いた3万5000円。

 現地の医療機関に支払った30万円のうち、健康保険から還付を受けられるのは3万5000円で、残りの26万5000円は患者の自己負担になる。

アメリカで25日間入院すると

請求された医療費は4661万円!

 海外で受けた医療費も、治療の内容や金額によっては高額療養費(医療費が家計の重い負担にならないように、1カ月に支払う医療費の自己負担額に上限を設けた制度)の対象になる。とはいえ、日本と外国では、施される治療も医療費も大きく異なるため、日本で医療を受けるようなわけにはいかない。特に、先進諸国は医療費が高額で、時として非常に高い医療費を請求されることがある。

 JTBの「2019年度海外旅行保険事故データ」によると、アメリカでくも膜下出血と診断されて、25日間入院したケースでは、家族の渡航費用やチャーター機での医療搬送費なども含めて、4661万円の保険金が支払われている。

このほか、アメリカで脳出血と診断されて3506万円、グアムで心筋梗塞と診断されて2100万円、ハワイで心筋梗塞と診断されて1500万円など、海外での高額な医療費の実態が明らかになっている。

 COVID-19に限らず、海外で病気やケガをすると、医療費そのものが高額な上に、家族が現地に向かうための渡航費用、日本に帰るためのストレッチャーでの移送費用など、思わぬ費用がかかることもある。

 実際にかかる費用は、健康保険の海外療養費だけでは、カバーできない可能性が高い。そこで、海外旅行に行く前に必ず加入しておきたいのが、民間の損保会社が販売している「海外旅行傷害保険」だ。

 海外旅行傷害保険は、海外旅行中に起きる可能性のある危険や損害を総合的にカバーするものだ。補償内容は、賠償責任や携行品損害、治療費用、救援者費用、死亡・後遺症などで、他人への補償や自分の持ち物の補償のほか、自分が病気やケガをしたときの補償などが備わっている。

 なかでも、重要なのが治療費用や救援者費用だ。前述のように、海外で病気やケガをすると、医療機関への支払いのほか、現地に家族が行くための渡航費用、医療搬送費用などがかかることもあり、その費用は数百万~数千万円単位になることが想定される。

 その費用を賄えるだけの貯蓄があればいいが、支払えない場合は自己破産に追い込まれたり、その場で必要な治療を受けられなかったりする可能性もある。

コロナ禍の海外旅行は旅行変更費用特約付き保険が安心

健康保険の海外療養費も併用可能

 クレジットカードにも海外旅行傷害保険は自動付帯されているが、単体で加入するものに比べると、補償額は低いのが一般的だ。特に、治療費用や救援者費用の補償額は、一般カードだと50万円程度。ゴールドカードでも300万~500万円程度なので、医療費が高額になった場合は対応できない。

 カードに自動付帯されている補償額を確認し、心細い場合は単体の海外旅行傷害保険に加入しておこう。

 海外旅行先でCOVID-19の陽性が判明した場合、医師の診断書が必要になったり、宿泊の延長やフライトの変更手続きが必要になったりすることもあり、予定外の出費がかかることもある。慣れない外国では、病院を探すのも一苦労だが、海外旅行傷害保険に加入していれば、提携先の医療機関を紹介してもらうこともできる。

また、症状が出なくても、陽性反応が出ると、宿泊先のホテルなどでの隔離が求められることもあるが、旅行変更費用特約が付いたタイプなら、万一の宿泊延長やフライト変更にも対応可能だ。

 海外での高額な医療費を考えると、海外旅行傷害保険はどんな旅にも必要なものだが、COVID-19が収束していない今は、旅行に必須のアイテムといえる。数千円の保険料をケチったために、数千万円の出費に悩むことのないように、海外旅行の出発前には保険の準備も忘れずに。

 ちなみに、海外旅行傷害保険から補償を受けても、健康保険が適用されている治療の範囲内なら海外療養費の申請もできる。海外の高額な医療費については、民間の海外旅行傷害保険でカバーできるようにしておくべきだが、健康保険に海外療養費もダブルで使えることも覚えておこう。

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