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2022/11/28
海外医療通信2022年11月号 【東京医科大学病院 渡航者医療センター】 (11/25)

https://www.travelvision.jp/news/detail/news-102549 より

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

【リンク】東京医科大学病院 渡航者医療センター=====================================================

海外医療通信 2022年11月号

海外感染症流行情報 2022年11月 

(1)全世界:新型コロナウイルス流行状況

新型コロナウイルスの全世界の感染者数は11月になり減少傾向にあります(WHO Corona virus disease 2022-11-23)。国別では南アフリカ、ブラジル、フランス、インドネシア、タイ、日本などで感染者数が増加しています。流行株はオミクロン株のBA.5系統が主流で全体の7割を占めています。BA.5系統で免疫逃避が強いとされるBQ.1は2割以上に増加しており、今後、北半球の冬の到来とともに、流行が拡大する可能性があります。なお、日本の外務省は、空港での海外在留邦人向けのワクチン接種を継続しています。外務省 海外安全ホームページ|日本での新型コロナウイルス・ワクチン接種を希望する海外在留邦人等の皆様へのお知らせ (mofa.go.jp)

(2)全世界:季節性インフルエンザの流行状況

11月になり世界各地でインフルエンザの患者数が増加しています(WHO Influenza 22-11-14)。米国では南部などで、ヨーロッパではドイツ、英国、ポルトガルなどでA(H3N2)型の患者が増えています。東アジアでは患者数の著明な増加が見られていませんが、日本では局地的な患者発生が報告されています(厚労省新型コロナ専門家会議資料 22-11-22)。今後、北半球全体で冬の流行が拡大すると予測されます。

(3)全世界:サル痘流行状況

今年の5月からヨーロッパや北米、南米を中心にサル痘の世界的な流行が発生しています。11月中旬までに110か国から8万人近くの感染者が報告されていますが(死亡は53人)、今年8月ごろをピークに感染者数は減少傾向にあります(WHO 22-11-23)。感染者の大部分は男性間性交渉者(Men who have Sex with Men :MSM)で、この集団を対象にワクチン接種を推進した結果、感染者数の減少がみられているようです。

(4)アジア:アジアでのデング熱流行状況

今年は東南アジアでデング熱の患者数が大幅に増加しましたが、11月になり減少傾向にあります(WHO西太平洋 22-11-17)。11月中旬までにマレーシアで5万人、フィリピンで19万人、シンガポールで3万人、ベトナムで30万人の患者が確認されており、ベトナムの患者数は昨年の5倍近い数になっています。今年はインド、バングラデッシュ、ネパールなど南アジアでも、デング熱患者数が例年になく増加しています(Outbreak News Today 22-10-30,11-2)。

(5)アジア:インドネシアでポリオ患者が発生

インドネシアのスマトラ島北部にあるアチェで、11月初旬にポリオ患者が一人発生しました(ProMED 2022-11-20)。患者は7歳の男児で、ポリオワクチン由来の2型ウイルスが検出されました。同国では2019年にパプア州で感染者が2人確認されていますが、それ以来のポリオ患者発生になります。

(6)ヨーロッパ:移民などにジフテリア患者が多発

今年になりヨーロッパ各地で、中東などからの移民にジフテリア患者が多発しています(ヨーロッパCDC 22-11-18)。11月中旬までに148人の患者が確認されており、ドイツ、英国、オーストリア、スイスでの発生数が多くなっています。ジフテリアは飛沫感染する細菌性疾患で、喉頭・咽頭の炎症や皮膚の病変をおこします。今回確認された患者の出身国は、シリアやアフガニスタンが多い模様です(ProMED 22-11-19)。

(7)アフリカ:ウガンダでのエボラ熱の流行

東アフリカのウガンダでは、9月から発生していたエボラ熱の流行が11月も続いています(WHO 22-11-10)。累積患者数は11月中旬までに136人となり、53人が死亡しました。患者発生は同国中央部のムベンデ県を中心に8つの県に及んでおり、首都カンパラでも17人の患者が確認されました。なお、直近の新規患者数は減少傾向にあるようです(ヨーロッパCDC 22-11-17)。

日本国内での輸入感染症の発生状況(22年10月10日~11月6日)

 

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査2022年 (niid.go.jp)を参考に作成しました。新型コロナウイルス感染症の輸入例については、厚労省発表の検疫事例発生状況 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況、検疫事例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)を参考にしています。

(1)経口感染症:輸入例としてはチフス2人、E型肝炎2人が発生しています。

(2)昆虫が媒介する感染症:デング熱が18人発生し、前月(18人)と同数でした。感染国はベトナム(7人)、ネパール(5人)、フィリピン、バングラデッシュ(各2人)、インドネシア、インド(各1人)でした。マラリアは4人で、感染国はアフリカ(ギニア、カメルーン)が2人、ブラジル2人でした。

(3)新型コロナウイルス感染症: 22年10月23日~11月23日までに検疫での輸入例として113人が報告されています。感染者の滞在国で多かったのは、米国32人、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、フランス(各7人)、タイ(5人)でした。