政府は5日、新型コロナウイルス禍で原則停止していた海外からの入国を緩和すると発表した。外国人の新規入国はビジネス目的や留学生、技能実習生に認める。ワクチンを接種したビジネス客は入国後の待機を最短3日に縮める。8日から適用する。
在留資格を持ちながら入国できない人は37万人ほどいる。このうち留学生は15万人、技能実習生は11万人程度になる。こうした人が順次、入国できる。1日3500人の入国者数の制限も徐々に緩和する。
受け入れ先の企業や大学などが入国後の防疫に責任を持つことが条件。受け入れ側は経済産業省、文部科学省、農林水産省といった所管省庁に計画を出す。
いまはワクチンを接種した人でも入国後10日間は自宅などで待機が必要だ。3日に短縮すればビジネス再開に追い風になる。対象のワクチンは日本が薬事承認した米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカの3種。
政府は1月、変異型ウイルスの流行などを受けて、入国制限を強化した。全世界を対象に「特段の事情」がある外国人以外は新規入国を禁じた。
今回の緩和に観光客は入らない。新型コロナの状況を見ながら、段階的に対象を広げるか検討する。年内をめどに観光客への対策を検証する。
第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは今回の緩和によって国内総生産(GDP)を年8300億円ほど押し上げる経済効果があると試算する。入国する人が増え、消費が拡大するなどの効果が見込めるためだ。
木原誠二官房副長官は5日の記者会見で「新たな変異型の感染が拡大するなど状況が悪化する場合は機動的に対処していく」と述べた。制限のさらなる緩和へ「前向きに検討を続けていく」とも言及した。
日本経済新聞社より
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA053I50V01C21A1000000/