https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB291P20Z20C23A1000000/?n_cid=BMSR3P001_202301291604
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【北京=多部田俊輔】在日本の中国大使館は29日、日本人向けの渡航ビザ(査証)の発給手続きを同日から再開すると発表した。春節(旧正月)の大型連休が終わり、新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策で減速した国内経済を早期にテコ入れするため、日中間のビジネス交流の活性化を狙ったとみられる。
日本政府が中国からの渡航者への水際対策を強化したことを受けて、中国政府は10日からビザの発給業務を停止した。具体的には、公務や一部の商用ビザなどの例外を除き、発給手続きが止まっていた。
今回の発給再開について、中国政府関係者は「中国経済の回復にとって、日本企業の投資などは欠かせない。中国の企業活動が本格的に再開する旧正月明けからの発給再開は視野に入っていた」と指摘する。
別の中国政府関係者は「日本政府がコロナの感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ『5類』に引き下げることも、中国からの渡航者への水際対策の緩和を期待できるサインと受け止めたのではないか」との見方を示す。
中国に駐在する日本の商社幹部は「中国では旧正月明けからビジネスが本格的に再開するので、その時期にあわせた再開に安心している。日本企業と中国企業の協力関係を後押ししたい中国政府の思惑が透けて見える」と話す。
中国共産党系メディアの環球時報(電子版)は発給再開を速報し、関心の高さを示した。半導体など中国政府が支援する工場は日本の製造設備が欠かせず、中国企業にとって朗報だ。中国メーカー幹部は「新工場の建設で日本からの出張者は必要だったため、発給再開で工場を予定通り稼働できるようになった」と胸をなで下ろす。