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2024/5/29
海外医療通信2024年5月号 【東京医科大学病院 渡航者医療センター】
https://www.travelvision.jp/news/news-111224

より

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

【リンク】東京医科大学病院 渡航者医療センター

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海外医療通信 2024年5月号

・海外感染症流行情報 2024年5月

(1) 全世界:インフルエンザとCOVID-19の流行状況

南半球の温帯地域では、冬の到来とともにインフルエンザ(A型)の患者数が増えています(WHO influenza update 24-5-22)。COVID-19については、世界的に大きな流行は今のところ起きていません(WHO coronavirus disease 24-5-17)。検出されるウイルスの種類は、オミクロン株JN.1系統のKP.1やKP.2が多くなっています。日本では今後、夏の流行期に入ることが予想されます。

(2)アジア:デング熱流行状況

東南アジアでは昨年同期を上回るデング熱の患者数が報告されていますが、ここ1ヶ月は横ばい状態です(WHO 西太平洋 24-5-16)。今後、本格的なデング熱の流行シーズンに入るため、十分な注意が必要です。

(3)アジア:中国で鳥インフルエンザ患者が発生

中国・福建省で、4月中旬に50歳代の女性が鳥インフルエンザ(H5N6型)を発病し、死亡しました(ヨーロッパCDC 24-5-24)。患者は発病前に病気の家禽との接触があったとのことです。中国では2014年から90例のH5N6型の患者が発生しています。

(4)アジア:サウジアラビア渡航者の髄膜炎菌感染症が増加

欧米でサウジアラビア渡航後に髄膜炎菌感染症を発病するケースが増えています(ヨーロッパCDC 24-5-17)。5月末までにフランスで4例、英国で3例、米国で5例の患者が確認され、血清型はW型が多くなっています。髄膜炎菌は飛沫感染する病原体で、大規模集会などの際に集団感染することがあります。サウジアラビアでは6月にイスラム教の大巡礼が開催されるため、これに参加する者には髄膜炎菌ワクチンの接種が要求されます。

(5)アジア:インドからオーストラリアへの鳥インフルエンザ輸入例

オーストラリアのビクトリア州で、3月に小児が鳥インフルエンザ(H5N1型)を発病しました(ヨーロッパCDC 24-5-24)。病状は重症でしたが、その後、回復しています。この小児はインドから帰国後に発病しており、検出されたウイルスもアジアで流行している種類であることから、インドで感染したと考えられています。

(6)大洋州:オーストラリアで蚊媒介感染症が増加

今年、オーストラリアでは蚊に媒介される感染症が増加しています。デング熱は4月末までに676人の患者が報告されており、昨年同期の2倍の数になっています(WHO西太平洋 24-5-16)。ロスリバー熱の患者も4月末までに2000人以上になり、昨年同期の3倍近くに達しています(Fit For Travel 24-5-9)。オーストラリアはこれから冬の季節を迎えますが、北部では蚊の発生が続くため、こうした地域に滞在中は予防対策を心がけてください。

(7)北米:米国で鳥インフルエンザH5N1型の2例目が発生

米国・ミシガン州のウシ牧場の労働者が、鳥インフルエンザH5N1型に感染し、結膜炎を発症しました(米国CDC 24-5-22)。3月にもテキサス州で同様の事例が発生しており、2例目になります。米国では今年2月ごろから、テキサス州やミシガン州などのウシの間でH5N1型ウイルスの流行が拡大しており、労働者はこうしたウシに接して感染したと推定されています。なお、牛乳や牛肉が汚染されている可能性があるため、米国CDCは殺菌処理をしている牛乳を飲むことや、加熱処理をした牛肉を食べるよう指導しています。H5N1 Bird Flu: Current Situation Summary | Avian Influenza (Flu) (cdc.gov)

・日本国内での輸入感染症の発生状況(2024年4月8日~5月12日)

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査2024年 (niid.go.jp) を参考に作成しました。

(1)経口感染症:輸入例としては細菌性赤痢3人、腸管出血性大腸菌感染症6人、チフス5人、赤痢アメーバ症2人、ジアルジア症1人、A型肝炎9人、E型肝炎3人が発生しています。A型肝炎は前月(1人)より大幅に増加し、南アジア(パキスタン、インド)での感染が4人でした。

(2)昆虫が媒介する感染症:デング熱は19人発生し、前月(18人)と大きな変化はありませんでした。感染国はインドネシアが13人と多くなっています。今年のデング熱累積患者数は64人で、昨年同期(22人)の3倍近くです。マラリアの輸入例は3人で、ソロモン、インドネシア、シェラレオネでの感染でした。

(3)その他:麻疹の輸入例は報告されていません。エムポックス(タイでの感染)、コクシディオイデス症(米国での感染)、レプトスピラ症(フィリピンでの感染)が各1人ずつ報告されています。

・渡航者医療センターからのお知らせ
東京医科大学病院・渡航者医療センターでは、オンラインでのワクチン相談を行っていますので、HPをご確認ください。オンラインによるワクチン相談|渡航者医療センター|診療部門案内|東京医科大学病院 (tokyo-med.ac.jp)