添乗集団 夢屋

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2021/11/24
海外旅行再開へ向けたロードマップとヘルスパスポートの現状-JATAインターナショナル・ツーリズム・フォーラム2021

https://www.travelvision.jp/news/detail/news-95536

より

コロナ禍に収束の兆しがうかがえ、総選挙も終わったことから各種行動規制の緩和が動き出すと期待され、海外旅行再開にも希望の日光が差し込みつつある。日本旅行業協会(JATA)の「JATAインターナショナル・ツーリズム・フォーラム2021」で11月1日に実施された「再開に向けたロードマップ/ヘルスパスポート」では、各者が海外旅行再開を準備する上で必要となるスケジュール感や、ワクチンパスポートの利用方法などに関する最新情報が、JATAの海外旅行推進部から説明された。

11月末にはワクチン接種証明書活用の業界ガイドラインと手引き策定

 海外旅行再開へ向けた状況についてJATA海外旅行推進部の稲田正彦部長は、海外旅行者に係る行動規制の緩和について、内閣官房や外務省が段階的な見直しをおこなう姿勢を見せているとした上で「総選挙が終わり政権が維持されたことで、おそらく具体的な動きが出てくるだろう」と予想。日本帰国・入国後の隔離期間の短縮化や、現在の感染症危険度レベル3からの引き下げ、今年1月から停止しているビジネストラックの再開に期待できるとした。

 ただし行動制限緩和とは別に、日本入国時のPCR検査体制を踏まえて現在、1日3500人の入国制限が存在することに触れ「このままではインバウンドとアウトバウンド含めて年間130万人分の枠しかなく、この規制緩和にも働きかけて行かなくてはならない」とした。

またワクチン接種証明書を活用した旅行を前提とする旅行業ガイドラインの策定作業が進んでいるとし、ガイドラインそのものは海外旅行傷害保険への加入勧奨などシンプルな内容にとどめ、詳細は運用手引書としてまとめられるとの見通しを明かした。「これにより、状況が変化した場合も政府の新型コロナウィルス感染症対策分科会に諮らず柔軟に対応していけるようになるのでは」との見解を示した。さらにガイドライン及び手引きは11月中にも完成の見込みであるとした。

 海外旅行再開を前提としたJATAの取り組みについては、日本発の海外旅行再開のアピールとサプライヤーに対するプレゼンス向上のため11月か12月にヨーロッパやフランス、ハワイへ視察団の派遣を予定しているほか、「国内における海外旅行気運の醸成を図るためのプロモーションも、年明けないしは春先に実現したい」(稲田部長)とした。

さらに「これから先は各社がそれぞれ自社のロードマップを作り、旅行客に訴えていくことにフォーカスするのが適切では。再開への動きが具体化すればさまざまな課題も見えてくると思うが、あきらめずに取り組んで行って欲しい」(同)とした。

航空会社、国や州政府によって有効なワクチンパスポートが異なる

 ワクチンパスポートとデジタル・ヘルス・パスポートについて説明したJATA海外旅行推進部の小貫誠副部長は、これらパスポートの取り扱いや有効性については状況が刻々と変化しており、「常にアップデートした情報をキャッチしていることが極めて重要だ」とした。

小貫副部長は「まず基本的にワクチンパスポートとデジタル・ヘルス・パスポートは全く異なる役割を持っていることを理解することが重要」と説明。ワクチンパスポートはワクチン接種証明書であり、デジタル・ヘルス・パスポートは各国政府が発行したワクチン接種証明書を読み取り、航空会社の搭乗手続や、渡航先国での入国手続きを迅速化するために活用するアプリに位置づけられるとした。また日本のワクチンパスポートは12月からQRコードが付けられ、同コードと文字情報の組み合わせで渡航者の各種情報やワクチン接種情報を搭載できるようになると説明した。

 一方のデジタル・ヘルス・パスポートは現在、IATAのTravel Pass、米国で使用されているVERIFRY、アマデウスのトラベラーIDなどがあるが、これらを採用するか否かは各国の判断次第で、なおかつ判断は刻々と変化しており注意が必要だ。

 またワクチンパスポートに搭載するQRコードの規格は各国で統一されておらず、国によっては航空機への搭乗や入国管理、観光施設やレストランで対応できるQRコード規格が異なる場合もあるという。ワクチンパスポートのQRコード規格によっては、情報を読み込めないデジタル・ヘルス・パスポートもあり、両者の組み合わせも問題になるという。

 さらに航空会社の中には独自に自社サイトやアプリ上での事前登録を求めるケースもあり、ユナイテッド航空はトラベル・レディー・センターで事前登録が必要で、デルタ航空も事前登録が求められる。国や州によっても受け入れるデジタル・ヘルス・パスポートが異なるほか、独自のアプリが必要になる例としてカナダのアライブカナダやハワイ州のセーフ・トラベル・プログラムが挙げられた。このため「航空会社、国や州政府などによって有効なワクチンパスポートが異なり、デジタル・ヘルス・パスポートとの組み合わせも複線化している」(小貫副部長)として細心の注意が必要だと呼び掛けた。